泥棒の風呂敷は唐草模様
唐草模様はツタから生まれた
漫画の中の泥棒は、緑地に白色の唐草模様の大きな風呂敷包みを背負っています。
この唐草模様は、じつは古代エジプトに期限をもつと言われる古いものです。その
後、エジプトから、ギリシアやペルシャ、ローマ、インド、中国、モンゴルなど世界
各地に広がり、さまざまな地域で用いられています。日本には、古墳時代の五世紀に
大陸から伝わったとされていますから、由緒ある模様です。
唐草模様はツタという植物を図案化した模様です。ツタは伸長が早く生育が旺盛で
す。茎をどこまでも伸ばしていくこの生命力の強さから、長寿や繁栄のシンボルとさ
れてきたのです。そうすれば、縁起物の獅子舞の体も唐草模様でした。
成長の速さの秘密
ツタはつるで伸びる「つる植物」です。
ツタに限らず、つる植物は成長が早いという特徴があります。たとえば、アサガオも
夏休みの間に二階に届くまでに伸びますし、グリーンカーテンとして用いられる
ニガウリも、あっという間に、窓を覆い尽くします。
植物は光を浴びないと生きていくことができません。そのためライバルとなる他の
植物よりも、早くのびることが重要になります。成長の早いつる植物は、その点で成功
している植物なのです。つる植物の成長が早いのには、秘密があります。
他の植物や支柱を頼りにしてよじのぼるつる植物は、他の植物のように自分の茎で
立たなくてもいいので、茎を頑強にする必要がありません。 その分のエネルギーを
使って、どんどん茎を伸ばすことができるのです。
さらにつる植物は、水を運ぶ導管や栄養分を運ぶ師管が太いため、効率良く水や栄
養分を運搬することができます。導管や師管を太くすると、構造的に弱くなってしま
うため、多くの植物は細い導管や師管をたくさん作って、植物繊維で補強しながら成
長していきます。ところが、茎の頑強さが必要ないつる植物は太い導管や師管を持つ
ことができるのです。
―「面白くて眠れなくなる植物学」より抜粋―