今回は水島様邸にお邪魔しました。水島様邸には年2回お庭の管理に入らせて頂いており長くお付き合い頂いております。
庭園は芝地があり庭木が季節でお花や実物がみられる和の原風景を想わせるとても雰囲気のいい空気感を出していて、とても心休まる空間となっています。
ご自身は横浜のご出身で海の見える丘のお宅だったそうです。先日終戦記念日を迎えましたが、戦時は甲府に疎開されその疎開先で空襲に遭い、避難先で大木が燃え、大きな焼夷弾が目の前の田んぼに刺さるのを目の当たりにし、命からがら逃れられたなど、戦禍の中をくぐり抜けて来られた大変なご経験を持たれたお方です。
その時代では稀な女性の社会進出の先駆者ともいうべき方で、平塚に越されてからも横浜へ通い美術の教師をされていたようです。旦那様が描かれた絵画や奥様の作品もお写真でしたが見せて頂き、とても柔らかな優しい雰囲気のある心温まるものでした。絵を描く際には実際にその場へ行きその空気感や雰囲気などそこから湧き出るものを写し出すのが大事だそうです。
世界を巡られて見聞したものはやはりその文化的背景もあり、画像や映像で見るものとは大きな違いがあるとお話しされていました。絵画の何たるかはわかりませんが、その感覚は伝わる気がします。甲府の豊かな自然もお好きだったそうで、今でもご自身で調べ、僻地のローカル鉄道に乗り旅をされるようです。素晴らしい行動力ですね。幼少のころは木登りをされていた活発な少女だったそうですから、やはり‘三つ子の魂百までも’ですね。
木登りといえば、今お住いのお庭には10m近くになる大きなセンダンの大木がありますが、昔はお子様が機嫌を損ねて木の上でストライキを起こしたり、下りてこないのでそこへおにぎりを持っていってあげたり、娘さんがいないなと思ったら木の上で遊んでいたりと。思い出の詰まった木だそうです。
想像するだけでほほえましく何か昔の良き時代を感じますね。木1本にもストーリーがありますね。確かに頭の上ぐらいの高さに三又に枝分かれした平らなところがあり、上りたい好奇心をくすぐる形をしています。今の時代は危ないからとなかなかそういったことは出来なかったり、大きな木は台風の時に危ないからと伐採されたり、昔のように野山にまみれて遊ぶという事がなくなりましたね。時代もありますが、そういった自然との関係が豊かな情緒を育むのだと思います。
いろいろなお話を聞かせて頂き、違う世界に行ってしまったような不思議な気持ちになりました。突然のお願いにも快く取材に応じて頂いた水島様には本当に感謝いたします。
ご協力頂き、ありがとうございました。